系長挨拶

ビジネスサイエンス系は,筑波大学東京キャンパス(東京都文京区)に拠点を置き,経営学および法学の2領域を中心に先端的な研究を推進する教員組織です。系として発足したのは2011年ですが,母体となる教育組織の開設は1989年まで遡りますので,約35年の歴史があります。その間,関係する教育組織を拡充しながら規模を拡大し,現在では4つの研究グループに合わせて約50名の教員が所属しています。

ビジネスサイエンス系を構成する4つの研究グループでは,それぞれに特色ある研究・教育を行っています。経営学領域のうち,経営システム科学研究グループは数理や情報などのアナリティクスと経営学の融合研究を志向し,外国人教員が過半数を占める国際経営プロフェッショナル研究グループはグローバル経営の研究・教育に強みを持ちます。法学領域では,企業法学研究グループがビジネスと関係が深い分野における先端的な法的課題を研究対象とするのに対し,法曹研究グループは実定法の基本分野を満遍なくカバーし,研究者だけでなく実務家教員を擁する点に特徴があります。

これらに加えて,各研究グループが関係する教育組織がいずれも高度専門職業人の養成を目的とする社会人大学院であることも特色として挙げられます。企業などに所属する社会人学生は,ビジネス上のさまざまな課題や問題意識を抱えて入学し,教員が提供する知識や理論を学んだ上で,それらを組み合わせて課題解決を図ります。一方,教員は研究の学術的な価値だけでなく,ビジネスや社会への研究成果の還元も意識しつつ研究に取り組むこととなります。こうしたニーズドリブン型研究に対する豊富な経験は産学官が連携する共同研究にもつながっており,例年さまざまな企業等との共同研究や受託研究を実施しています。

生成AIの活用や在宅勤務の導入など,ビジネスを取り巻く近年の環境変化は速く,大きくなっています。こうした変化に対応するため,ビジネスサイエンス系では「デジタルビジネスプラットフォームの戦略的マネジメント」を研究テーマとして掲げ,ビジネスにおける人とAIの関係や,バーチャルな空間における組織や制度などに関する研究を計画しています。また,こうした研究を遂行するためには,異なる専門性を有する研究組織や企業等との有機的な連携が今後さらに重要になると考えています。ビジネスサイエンス系では,35年の伝統に根ざした研究基盤を活用しつつ,今後生じるであろうビジネスや社会の変革を見据えた研究を推進してまいります。

ビジネスサイエンス系長 牧本 直樹