系長挨拶

系長 山田雄二 系長 山田雄二

多様化・複雑化する現代社会において、ビジネス上の戦略や関連する法規制も日々変化を遂げております。ビジネスサイエンス(あるいはビジネス科学)とは、企業が実行する戦略、事例や取引データ、および関連する法的諸問題や規範を研究対象にビジネスの現象を科学的に分析することで、安定かつ持続的に成長する社会基盤の構築を目指す学問分野です。

筑波大学では、大研究科構想の下、2001年にビジネス科学研究科が東京キャンパスに設立されたことが、ビジネスサイエンスの冠をもつ研究組織の始まりといえるでしょう。それまでは、教員はそれぞれ学系に所属し、社会人大学院である「経営システム科学専攻」や「企業法学専攻」、および博士課程の「企業科学専攻」において教育を担当し、それぞれの専攻がカバーする分野の研究に従事しておりました。それが2001年に、上記3つの専攻および東京キャンパスを拠点に活動していた「大学研究センター」を配下に置く形で、ビジネス科学研究科という新たな研究科が誕生しました。さらに2004年の国立大学法人化を機に、教員の所属組織も学系から研究科に変更になり、翌2005年に発足した専門職大学院「国際プロフェッショナル専攻」、「法曹専攻」の担当教員も加わり、現在のビジネスサイエンス系に相当する教員組織が形成されることになりました。ただし当時は、教員による研究組織も、学生が所属する教育組織である大学院とは区別されず、ともにビジネス科学研究科を名乗っていたと思います。それが、2011年10月の組織改革によって教員は新たに誕生した10個の系のいずれかに所属することになり、ビジネス科学研究科の教員は全員、ビジネスサイエンス系の所属になりました。余談ですが、ビジネス科学研究科における教員組織を系に移行する際に配布された資料では、過去に存在した教員組織である学系と新しくできた系を区別するため、研究科を系に改名したビジネス科学系ではなくビジネス系という名称が記載されておりました。それについて、経営システム科学専攻発足当時から在籍していた教員の方が、教員会議で「ビジネスサイエンス系にしたらどうか」と提案され、最終的に新しい系の名称は「ビジネスサイエンス系」に決まりました。同時に、ビジネス科学研究科は、ビジネスサイエンス系の教員が主に教育や研究指導を担当する教育組織としての位置付けになりました。こうして、ビジネスサイエンス系は、国立大学としては初となる社会人大学院発足当時からの30年に渡る伝統を踏襲しつつ、新たな教員組織としての船出を切ったわけです。

ビジネスサイエンス系は、主に、「経営学領域」、「法学領域」を研究の柱とする教員によって構成されており、それぞれの分野で教員は、先駆的かつ実用的、創造的な研究成果を社会に還元すべく研究活動にまい進しております。このようなビジネスサイエンス系が対象とする研究領域は、実社会(あるいは実務)との関係が密接であり、実務への適用可能性を見据えながら研究を実施することが研究の高度化へとつながるという特徴をもちます。その意味において、全ての教員が社会人大学院であるビジネス科学研究科で大学院教育を担当し、社会人学生への研究指導や修了生との共同研究を通して実務と接点をもつことは、研究の高度化と社会還元の両面において重要な役割を果たします。さらにビジネスサイエンス系では、「経営システム科学研究グループ」、「国際経営プロフェッショナル研究グループ」、「企業法学研究グループ」、「法曹研究グループ」という4つの研究グループを構成することで、社会人大学院が要求する高度な専門性に応える研究力の維持と向上を図っております。

筑波大学としては、東京キャンパスに国立大学として初めての社会人大学院を設立してから、2019年4月でちょうど30年の節目を迎えました。近年の少子高齢化に伴い、シニアの方々の世代や一度社会に出た社会人の方々のリカレント教育の重要性が高まりつつある中で、社会人大学院の役割も変わりつつあります。そのような状況下で、ビジネスサイエンス系にとりましては、教育対象組織が社会人大学院であるという強みを最大限に活かし、実務の中にある研究課題に対して解を提示することを念頭にその成果を社会に還元することで、実社会から必要不可欠とみなされる研究組織を目指すことが、組織として生き抜く方向性と考えております。また、系内でのコミュニケーションや協力体制の構築はもちろん、筑波大学の他系や研究センター、および他大学や企業等との共同研究を含む他機関との連携も、研究力を維持、あるいは向上させる上で重要になります。このようにビジネスサイエンス系としては、常に社会の要請に耳を傾けながら、実務とアカデミックの架け橋となる社会人大学院を支えつつ、安定かつ持続的に成長する社会基盤を維持することを目標に、今後も研究に取り組む所存です。