周年記念
シンポジウム

　現在のビジネスサイエンス系およびビジネス科学研究科へと繫がる教育・研究組織の沿革は、平成元年 (1989年) と翌年にそれぞれ誕生した「経営システム科学専攻」「企業法学専攻」という２つの専攻からスタートします。これらの専攻は、有職社会人を対象とし、職を辞することなく修士の学位が取得可能な全国初の夜間大学院として、筑波大学の前身である東京教育大学跡地の大塚キャンパス（後の筑波大学東京キャンパス文京校舎）に開設されました。設立の際に掲げられた、①職場で抱える課題を研究テーマに、②実務に詳しい学生と理論に詳しい教員の出会いで相互に刺激される研究・教育環境の下、③研究成果が実務課題解決につながる論文指導を行うという構想は、現在まで踏襲されているといえます。

　その後、平成8年 (1996年) には、博士課程である「企業科学専攻」が設置され、平成13年（2001年）には、上記3専攻を含む形で「ビジネス科学研究科」という新たな研究科が東京キャンパスに誕生しました。ただし、この時点ではまだ、教員は学系（社会工学系・社会科学系等）に所属し、ビジネス科学研究科の各専攻で教育 (講義・論文指導) および研究に従事するという形態をとっておりました。それが、平成16年（2004年）の法人化を契機に、教員の所属組織も学系からビジネス科学研究科へと変更になりました。また、東京キャンパスを拠点に活動していた「大学研究センター」が組織体制に加わり、大研センター教員もビジネス科学研究科所属の位置付けになりました。さらに、翌平成17年（2005年）には、 2つの専門職学位課程の専攻 (全講義英語開講の専門職大学院「国際経営プロフェッショナル専攻」、有職社会人を対象とする法科大学院「法曹専攻」) がビジネス科学研究科に設置され、専門職学位課程専攻の新たな担当教員が加わりました。これにより、現在のビジネスサイエンス系に相当する教員組織が形成されることになりましたが、この時点ではまだ、教員による研究組織も、学生が所属する教育組織とは区別されず、ともにビジネス科学研究科という取り扱いでした。

　それが、平成23年（2011年）の筑波大学における組織改革によって、教員は、新たに誕生した10個の系のいずれかに所属することになり、ビジネス科学研究科の教員は全員、ビジネスサイエンス系の所属になりました。一方、ビジネス科学研究科は、社会人大学院生が所属する大学院組織であるのと同時に、ビジネスサイエンス系の教員が主に教育や論文指導を担当する教育組織としての位置付けとなりました。現在、ビジネスサイエンス系とビジネス科学研究科は、互いに連携をとりながら、理論と実務の新たな融合と社会還元を目指して、研究および教育に取り組んでおります。